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USCPA(米国公認会計士)は、グローバルなビジネスシーンで高い評価を受けている資格です。特に会計・財務の専門知識を有することは、経営戦略や事業運営において不可欠なスキルセットとされています。では、この資格はITコンサルタントとしてのキャリアにおいてどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
本記事では、USCPAがITコンサルの仕事にどのように役立つのか、また、資格保有者が活躍できるコンサルファームとその年収について掘り下げていきます。
目次
監修
荒木大介
株式会社ARK 代表取締役社長/プレジデント・シニアコンサルタント
1998年~ マカフィー株式会社
2002年~ ベリタスソフトウェア株式会社 (現シマンテック) : アカウントマネージャー
2004年~ インテル株式会社 : セールスマネージャー
2013年~ 株式会社ARK : 代表取締役
まずは、ITコンサルタントとして働くうえで、USCPAがどのように役立つのか、USCPAの資格についてと、取得するメリットを解説していきます。
USCPA(U.S. Certified Public Accountant、米国公認会計士)は、米国各州によって認定される公認会計士の資格です。この資格は、1917年に初めて実施された公認会計士試験以来、100年以上にわたってその価値と信頼性を保ち続けています。アメリカの資格であるにもかかわらず、日本を含む世界中で認知され、多くのビジネスマンにとって、キャリアアップや専門知識の証明のための重要なステップとなっています。
USCPAの資格は、会計、監査、財務管理など、ビジネスの核心となる分野における専門性を証明するものであり、その保持者は高い専門知識と技術を有すると評価されます。
USCPAはグローバルなビジネス環境で広く認知されており、特に米国市場への進出を考えているクライアント企業に対して、信頼性の高いアドバイスを提供することができます。会計や財務の専門知識は、ITコンサルタントが提案するソリューションのROI(投資収益率)を正確に評価するのにも必須です。
ここでは、USCPA取得の魅力について詳しく解説していきます。
USCPAの試験は英語で出題されるため、この資格を取得したこと自体が、実用レベルでの英語スキルを持つことの証明になります。英語での監査業務が可能であることを示すことで、国際的なプロジェクトやクライアントとの英語での交渉や相談がスムーズに行えるようになるなど可能性が広がります。また、外資系企業での就職や転職のチャンスも広がり、持っていて損はない資格と言えるでしょう。
日本と他国の会計基準の違いは、外資系企業で働く際に大きな障壁となることがあります。しかし、USCPAはアメリカ基準の公認会計士資格であるため、外資系企業での職務において自身のスキルを効果的に示すことができます。この資格は、グローバルなキャリアを築くための強力な武器となり、国際的な舞台でのキャリアアップにつながる可能性を秘めています。
USCPAの資格取得への道のりは、働きながらでも進めやすいのが大きなメリットです。2019年における日本在住者の合格率は41.2%と報告されており、これは日本の公認会計士試験の最終合格率7.7%と比較すると、その取得しやすさが明確になります。
USCPAは1科目ごとに合格すれば良いため、勉強と仕事のバランスをとりやすく、約1,200〜1,500時間の勉強時間で資格取得を目指せます。この柔軟性は、忙しいビジネスパーソンにとって非常に魅力的なポイントといえるでしょう。
USCPA取得者は、その高度な会計スキルと国際的な視野で、幅広いコンサルティングファームで活躍することが期待されます。特に、経営に密接に関わる問題を扱う会計系や戦略系コンサルティングファーム、事業再生系ファームでは、USCPAの持つ専門性が大いに生かされます。
会計系コンサルティングファームでは、USCPAの資格が会計スキルの高い証明となり、クライアントの経営をサポートする上での信頼性を高めます。グローバル化が進むビジネス環境では、海外の会計基準への理解が不可欠です。
USCPAを持つ専門家は、米国基準を含む国際会計基準に精通しており、国際的なビジネスシーンでの会計課題への対応力が求められる場面でその価値を発揮します。さらに、ITソリューションの提案だけでなく、会計のプロフェッショナルとして経営戦略にも深く関わることが可能であり、クライアント企業の財務戦略立案から実行支援まで幅広く貢献できます。
戦略系コンサルティングファームにおいても、USCPAはただの会計資格にとどまらず、ビジネス全般の知識として高く評価されます。USCPA資格取得者は、財務会計、商法、税法、監査、経営など、ビジネス運営に必要な知識を網羅的に身につけています。
これにより、「M&A戦略」「IT戦略」「新規事業戦略」など、多岐にわたる戦略的課題に対して、会計の専門知識を背景にした総合的な提案が可能になります。経営の意思決定を支える重要な情報を提供し、戦略的な視点からクライアントのビジネス成長をサポートすることができるのです。また、グローバル市場を視野に入れた事業戦略の立案や、国際的な財務報告の基準への対応も、USCPAの知識が生きる分野です。
事業再生系ファームは、危機に瀕した企業を救済し、再生させるための専門的なサービスを提供する業界です。これらのファームでは、経営の立て直し、財務構造の改善、効率化の提案など、多岐にわたる業務を担います。
USCPA(米国公認会計士)の資格を持つ専門家は、この分野で大いに活躍できるポテンシャルを持っています。とくに、日本企業の海外展開が進む中、海外子会社や支店の経営管理には、グローバル基準の会計知識と英語力が必要不可欠です。USCPA資格を持つことで、そのような状況下で企業の事業再生を支援する上で、高い評価を受けることが期待できます。また、グローバル案件においては、米国基準の会計スキルを活かす絶好の機会があり、企業再生における複雑な問題解決に貢献できるでしょう。
ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス(FAS)は、企業のM&A(合併・買収)、財務アドバイス、リスク管理、企業価値評価など、財務に関連する専門的なサービスを提供します。USCPAの取得者は、この分野で高い需要があります。特に、グローバル規模で事業を展開する大手企業のFAS部門では、多国籍企業の財務報告や税務問題に対応するため、米国会計基準(US-GAAP)に精通した専門家が求められます。
USCPA資格を持つことは、これらの複雑な財務問題を解決する能力を証明するものであり、英語力を含めたコミュニケーション能力も同時に評価されます。また、FASでは、クライアントの企業価値を最大化するための戦略立案から実行支援まで、幅広い業務に携わる機会があり、USCPA資格者にとっては自身のスキルを存分に発揮できるフィールドです。
USCPA、すなわち米国公認会計士の資格を持つ者の年収には、その勤務先や業界、さらには個々のキャリアパスによって大きな差があります。
日本においては、政府統計のデータを参考にすると、会計士・税理士を含む職業群の平均年収は約640万円とされています。これは一般的な日系企業におけるデータに基づくもので、USCPA資格保有者もこの範疇に含まれますが、彼らのスキルセットや資格のグローバルな評価を考慮すると、実際にはこの平均値を上回るケースが多いと考えられます。
アメリカに目を向けると、会計士および監査人の平均年収は、米国労働統計局のデータによると約$95,000(約1,332万2,183円)と見込まれています。ここで注目すべきは、この数値はUSCPA資格保有者に限らず、会計士および監査人全般に関するデータであるという点です。しかし、USCPA資格は国際的に高く評価されているため、特に外資系企業やグローバルに活躍する企業において、この平均年収以上を稼ぐことは十分に可能です。実際、USCPA資格保有者に対して、外資系企業は、彼らの能力を適切に評価し、それに見合った報酬を提供する傾向にあります。
これらの情報を踏まえると、USCPA資格を持つコンサルタントにとっては、特に年収を重視する場合、外資系企業がおすすめと言えるでしょう。外資系企業は、一般に高い水準の報酬を提供することで知られており、USCPA資格の持つ国際的な評価を理解し、そのスキルセットを存分に活用する機会を提供してくれます。さらに、グローバルな視野を持ち、英語でのコミュニケーション能力があることは、国際舞台でのキャリア構築において大きなアドバンテージとなります。
出典:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)
出典:会計士および監査人:職業見通しハンドブック::米国労働統計局 (bls.gov)
USCPA資格を持っているITコンサルタントは、会計・財務の深い知識を背景に、ビジネスプロセスの改善やシステム導入の効果を正確に評価する事が可能です。また、グローバルな視野を持つUSCPAは、国際的なプロジェクトにおいてもその能力を発揮し、さらには高い英語力もITコンサルタントとしてのメリットとなります。
活躍できるフィールドは多岐にわたり、特に会計系コンサルティングファームや戦略系コンサルティングファームでは、USCPAの資格がそのスキルセットを最大限に活かすことが可能です。FASや事業再生系ファームなど、特化したサービスを提供する企業でも、USCPA資格保有者の需要は高まっています。
年収に関しては、日本国内では平均して640万円程度であるのに対し、アメリカでは約1,332万円と大きな差があり、外資系企業での勤務が特におすすめです。また、多くの外資系コンサルティングファームではリモートワーク勤務が可能であり、様々な働き方へ柔軟に対応しています。年収以外にも、自分がどのような働き方をしていきたいか等のキャリアビジョンを踏まえ、勤務する企業を考えていくとよいでしょう。USCPA資格を持つことで、ITコンサルタントとしてより広いキャリアの選択肢と、より高い報酬を目指すことが可能になります。
こうしたことから、USCPA資格は、単に会計や財務に関する専門知識を証明するだけでなく、ITコンサルタントとしてのキャリアを大きく広げ、グローバルなビジネスシーンでの成功をサポートする重要な資格であると言えるでしょう。
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