SEからITコンサルへの転職は可能?仕事内容や気になる年収を徹底解説!

ITコンサルタントは、企業の情報技術(IT)に関する戦略的な問題を解決し、ビジネスの変革を支援する役割を担います。システムエンジニア(SE)からITコンサルタントへの転職は、ただの技術的な役割から脱却し、経営的視点を持ってプロジェクトに関わる機会を得ることを意味します。
多くのSEにとってITコンサルタントへのキャリアチェンジは、魅力的な選択肢の一つですが、何が求められるのか、どのようなスキルや経験が必要なのか疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、SEからITコンサルタントへの転職を考える際に押さえておきたいポイント、仕事内容の詳細、そして気になる年収について解説します。

目次

監修

荒木大介

株式会社ARK 代表取締役社長/プレジデント・シニアコンサルタント
1998年~ マカフィー株式会社
2002年~ ベリタスソフトウェア株式会社 (現シマンテック) : アカウントマネージャー
2004年~ インテル株式会社 : セールスマネージャー
2013年~ 株式会社ARK : 代表取締役

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SEからITコンサルに転職するには?ITコンサルに求められるポイント

SEからITコンサルタントへの転職を目指す場合、SEとしての上流工程での実務経験が重要とされています。具体的には、要件定義や基本設計など、プロジェクトの初期段階における経験が3年から5年程度あることが望ましいとされています。この経験がクライアントの課題を理解し、それを解決するためのIT戦略を策定する上で生きていきます。

また、ITコンサルタントになるためには、SEとしての技術的な知識に加えて、コミュニケーションスキル、課題発見・解決スキル、論理的思考力といったソフトスキルも不可欠です。クライアントと密にコミュニケーションを取りながら、そのニーズに合った解決策を提案し、プロジェクトを成功に導くためのスキルが必要とされています。

さらに、特定の資格を持っていることが、ITコンサルタントとして活躍する上で有利に働くこともあります。例えば、ITストラテジスト試験の合格や、中小企業診断士、経営士、ITコーディネータといった資格は、ITコンサルタントを目指す上で役立つ知識やスキルを証明するものとして評価されます。

SEからITコンサルへの転職は、単に技術的な知識からコンサルティングのスキルへと領域を広げることを意味します。そのため、専門知識だけでなく、ビジネス全般にわたる幅広い知識と、高度なコミュニケーション能力が必要とされるため、これらのスキルを身につけることが成功への鍵となるでしょう。

ITコンサルの仕事内容は?

ITコンサルタントとは、企業が直面している課題を解決するためのIT戦略を策定し、その実現をサポートする専門職です。その仕事内容は多岐にわたり、クライアントの経営戦略や抱えている課題を理解し、それをITの視点から解決する提案を行います。ここでは、その主な業務プロセスを紹介します。

分析・ヒアリング

ITコンサルタントの業務は、まずクライアントの抱える課題や経営戦略を深く理解することから始まります。これには、幅広いヒアリングや現状分析が含まれます。具体的には、クライアントが直面している問題点や、経営目標達成のための障害となっているITの課題を探ります。また、ITソリューションの新規導入だけでなく、既に導入されているシステムの効果的な活用方法や、問題点の洗い出しもこのプロセスで行われます。この段階での正確な課題把握が、ITソリューションの質を左右するため、非常に重要な業務です。

提案やプレゼンテーション

分析・ヒアリングを通じて得られた情報を基に、ITコンサルタントはクライアントに対して実行可能なソリューションを提案します。この提案は、単に解決策を挙げるだけでなく、なぜその解決策が適切であるのか、どのようにして実行に移すのかといった具体的なアクションプランを含みます。また、クライアントが提案内容を理解しやすいように、分かりやすく丁寧な説明が求められるため、高いプレゼンテーションスキルも必要とされます。提案の成功は、クライアントの信頼を得るためにも不可欠です。

マネジメント

提案が承認された後、ITコンサルタントはプロジェクトの実行フェーズに入ります。ここでは、プロジェクトの全体計画を立て、適切な人材を集め、各フェーズの進捗管理を行います。これには、タスクの割り当てから、スケジュール管理、品質管理まで、プロジェクトを成功に導くための全般的なマネジメントが含まれます。プロジェクト管理の目的は、クライアントの課題を効果的に、かつ効率的に解決することにあり、この段階での細やかな配慮と調整が、最終的な成果に大きく影響します。

各フェーズにおいて、クライアントの期待を超える提案を行うことができれば、ITコンサルタントとしての信頼と評価は高まります。また、プロジェクトを通じてクライアントのビジネスに深く関わることで、自身のスキルや視野も広がり、キャリアにおいても大きな成長を遂げることができるでしょう。このように、ITコンサルタントの仕事は、高度な専門性と広範なビジネススキルが求められる分、大きなやりがいと成就感を得られる職業です。

ITコンサルに求められるスキルとは?

ITコンサルタントは、クライアントとの密接なコミュニケーションを基に、その課題を解決へと導くことにあります。その過程で求められるのは、深いIT知識だけではありません。ITコンサルに求められるスキルをここでチェックしましょう。

論理的な思考能力

ITコンサルタントの業務では、顧客の抱える様々な課題を解決するために、論理的な思考力が不可欠です。複雑な経営課題を具体的かつ論理的に分析し、有効な解決策を導き出す能力が求められます。こうした問題解決過程では、問題の本質を見極め、因果関係を明確にし、解決策を段階的に提案する能力が重要となります。また、複雑な内容をわかりやすく説明する力も同様に重要であり、常に物事に対して「なぜ」と問い続ける好奇心が新たな発見につながります。

コミュニケーションのスキル

コミュニケーション能力は、ITコンサルタントにとって必須のスキルです。ただ情報を交換するだけでなく、クライアントとの深い関係構築や信頼獲得に役立つコミュニケーションを実施する必要があります。情報共有だけではなく、感情の共有や相手の立場を理解し、心に響く提案をすることが求められます。相手の表情やしぐさからニーズを読み取り、適切な話のテンポで説得力のあるコミュニケーションを心掛けることが大切です。

プロジェクト管理とマネジメントのスキル

ITコンサルタントはしばしば複数のプロジェクトを管理する立場にあります。これには、プロジェクトの目標設定から計画、実行、監視、そしてクロージングまで、全工程にわたる適切なマネジメントが求められます。問題が発生した場合には、迅速に解決策を提案し、プロジェクトチームや関連企業との円滑なコミュニケーションを通じて、プロジェクトを成功に導くことが重要です。また、プロジェクトの方向性について責任者と綿密に連携し、必要に応じて適切な調整を行うことも、ITコンサルタントにとって求められる能力です。

ITコンサルタントに求められるスキルは、技術的知識だけではなく、ビジネス理解、論理的思考、コミュニケーション、そしてプロジェクトマネジメントに及びます。これらのスキルをバランス良く持ち合わせることで、ITコンサルタントはクライアント企業の真のパートナーとして信頼を築き、企業の成長と革新に貢献できるのです。

SEからITコンサルに転職するメリットは?

SEからITコンサルタントへのキャリアシフトは、多くのメリットをもたらします。技術的な知見を活かしつつ、より戦略的な業務に関与できることは、個人の成長に直結するものです。

大幅な年収アップが望まれる

SEのキャリアからITコンサルタントへの転職は、大幅な年収アップを実現するチャンスを提供します。経済産業省の調査によれば、SEの年収は約500万円~700万円とされていますが、外資系のITコンサルタントでは、30代で1,500万円~2,300万円稼ぐ人もいます。年俸制を採用していることが多く、パフォーマンスに応じた評価が可能であり、より高いパフォーマンスを求める企業文化が根付いています。

以下はITコンサルタントとしての年収などの目安を年齢、年収、職位に分けた表です。

年齢年収職位
新卒~20代中盤400万~500万円アナリスト
20代中盤~500万~700万円コンサルタント
20代中盤~30代前半700万~900万円アソシエイトマネージャー
20代中盤~30代前半900万円~1,500万円マネージャー
30代前半~30代後半1,500万円~2,300万円シニアマネージャー
30代後半~1,800万~2,500万円プリンシパルアソシエイトマネージャー
30代後半~2,500万円~10,000万円マネジメントディレクター

人脈が広がる

外資系のITコンサルタントになることは、世界中から集まった優秀な人材との出会いの場を提供します。こうした職場では、技術、経営、文化など多岐にわたる視点から学び、互いに高め合う環境が整っています。これにより、自身の知識と視野を広げることができるだけでなく、様々なバックグラウンドを持つプロフェッショナルたちとの強固な人脈を築くことができます。

さらに、ITコンサルタントとしての業務は、多数のクライアント企業との接点を持つことになります。これにより、企業の経営者や重要な意思決定を行うマネージャーと直接コミュニケーションを取る機会が増え、これらの関係が将来的なキャリアの大きな財産となり得ます。ビジネスの世界では「誰を知っているか」も重要な要素であり、こうした人脈は新たなビジネスチャンスやキャリアアップの道を開く鍵となります。

やりがいのある仕事ができる

ITコンサルタントとして働くことは、単に高度な技術を扱うだけでなく、企業の根本的な経営課題に対峙し、それを解決するという大きな使命を担います。この仕事を通じて、一企業の経営方針や戦略に直接影響を与える機会を得ることができるのです。自分の提案や戦略が企業の成功に結びついたときの達成感は計り知れず、その成功体験は自信となり、プロフェッショナルとしての成長を促します。

経営課題という大きなテーマを扱える

ITコンサルタントは、クライアント企業の経営戦略や中長期的な目標達成に向けた重要な課題に対する解決策を提供します。この過程で、クライアント企業と深く関わり、企業文化やビジネスモデルを理解し、それに基づいた最適な提案を行います。こうした活動を通じて、企業の方針や将来像を大きく変えることができる可能性を秘めており、この過程での学びや成功体験は、個人のキャリアに大きな価値をもたらします。

IT技術の最先端にアクセスできる

IT業界の変化は速く、新しい技術やトレンドが絶え間なく出現しています。ITコンサルはブロックチェーン、人工知能(AI)、機械学習、クラウドコンピューティングなど、これらの最先端技術を駆使してクライアントのビジネス課題を解決します。そのため、I常に最新のIT技術やトレンドにアクセスする必要があり、常に最適な解決策を提案する上で最新の知識は不可欠です。このような環境で働くことは、IT分野における自身のスキルと知識を継続的に更新し続ける大きな刺激となるでしょう。

また、こうした継続的な学習と成長の機会は、ITコンサルタントとしてのキャリアを通じて、常に自己の能力を最大限に発揮し、クライアントにとって真に価値あるパートナーであり続けるための鍵となります。このプロセスは確かに厳しいものがありますが、その分、得られる満足感や達成感は計り知れません。

SEからITコンサルに転職するために持っておきたい資格

SEからITコンサルタントへの転職を考えている方にとって、特定の資格はそのキャリアパスを有利に進めるための重要なステップとなります。ここでは、ITコンサルタントを目指す上で持っておきたい資格について紹介します。これらの資格は、専門知識を深め、ビジネスの現場で求められるスキルセットを証明する上で非常に役立ちます。

ITストラテジスト試験

ITストラテジストの資格は、ITコンサルタントを目指す者が持つべき資格の一つです。
ITストラテジストの資格は、ITコンサルタントとして活躍するために必要な基礎知識やスキルを網羅しています。具体的には、IT戦略の策定、情報システムの計画や開発、業務改善といった分野が含まれており、これらの知識はクライアント企業のITに関する課題を解決する上で不可欠です。

合格率は約15パーセントとされ、その難易度は決して低いものではありません。しかし、この資格を持つことで、ITコンサルタントとしての信頼性を示すことができ、業界内での評価も格段に上がります。試験対策としては、関連する書籍や過去問の研究、専門の講座への参加など、計画的な学習が求められます。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営に関する課題を診断し、具体的な解決策や助言を行うための資格です。この資格は、経営コンサルタントの育成を目的としており、合格者は経営の専門家として中小企業をサポートすることが可能になります。

合格率は約3パーセントと非常に難易度が高い資格ですが、取得することで経営に関する幅広い知識を有していることを証明できます。これはITコンサルタントとして、技術的な解決策を提案するだけでなく、クライアント企業のビジネスモデルや経営戦略に基づいた提案ができるようになるため、非常に価値があります。中小企業診断士の資格を持つことは、ITコンサルタントとしてのキャリアにおいて大きなアドバンテージとなり得ます。

これらの資格を取得することは、SEからITコンサルタントへの転職を目指す上で非常に重要です。資格を通じて得られる知識やスキルは、クライアント企業に対してより質の高いサービスを提供するための基盤となり、ITコンサルタントとしてのキャリアを大きく前進させることができます。

まとめ

システムエンジニア(SE)からITコンサルタントへの転職は、専門的なITスキルとビジネスの理解を深めることで実現します。ITコンサルタントは、企業の情報技術(IT)戦略の策定、システム導入の提案、プロジェクト管理など、クライアントのITに関する課題解決を目的とした仕事です。
ITコンサルタントの仕事には、論理的思考力、コミュニケーションスキル、プロジェクトマネジメント能力などが求められます。また、ITコンサルタントは、クライアントの経営戦略をITの視点から支援するため、経営課題に対する深い理解も必要です。
転職にあたっては、ITストラテジスト試験や中小企業診断士など、関連資格の取得が有利に働くことがあります。これらの資格は、ITコンサルタントとしての専門性と信頼性を示すものであり、キャリアアップにつながるでしょう。
年収の面では、ITコンサルタントはSEと比べて高い傾向にあります。特に外資系企業では、成果主義の文化が根付いており、高いパフォーマンスを発揮すればそれに応じた報酬を得ることが可能です。このように、SEからITコンサルへの転職は、より高いキャリアを目指す上で、有意義なステップとなるでしょう。

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