コンサルBIG4とアクセンチュアはどう違う?それぞれの特徴を比較

コンサルティング業界における大手企業として知られる「コンサルBIG4」と「アクセンチュア」。どの企業も高い評価を受ける企業ですが、サービス提供方法、企業文化、そして専門領域には大きな違いが存在します。
本記事では、アクセンチュアとBig4という大手コンサルティングファームの特徴を比較し、それぞれの強みや業界内での立ち位置について掘り下げていきます。

目次

監修

荒木大介

株式会社ARK 代表取締役社長/プレジデント・シニアコンサルタント
1998年~ マカフィー株式会社
2002年~ ベリタスソフトウェア株式会社 (現シマンテック) : アカウントマネージャー
2004年~ インテル株式会社 : セールスマネージャー
2013年~ 株式会社ARK : 代表取締役

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コンサルBIG4とは

コンサルティング業界における「BIG4」とは、特定の会計事務所グループに属する四大コンサルティングファームの総称です。これらの組織は、監査や税務、法務だけでなく、幅広い経営コンサルティングサービスを提供しています。以下では、Big4の概要と理解しておくべきポイントを解説します。

コンサルBIG4の概要

コンサル業界のBIG4とは、以下の4つのファームを指します。

● 「デロイト トーマツ コンサルティング」(DTC)
● 「PwCコンサルティング」(PwC)
● 「EYストラテジー・アンド・コンサルティング」(EYSC)
● 「KPMGコンサルティング」(KPMG)

これらのコンサルティングファームは、それぞれ「デロイト」「PwC」「EY」「KPMG」という、世界の会計業界を代表する巨大な会計事務所グループに属しています。コンサルティングを含む多岐にわたるビジネスサービスを提供しており、特にコンサルティング事業を行う上記4社がコンサルBIG4として知られています。
それぞれのファームは、もともと会計事務所としてスタートしましたが、1990年代後半までに何度もの合併を経て、現在のBIG4に近い形態へと発展しました。初めは主に「監査」「税務」「法務」といった業務に焦点を当てていましたが、クライアント企業の経営方針に深く関与するコンサルティング業務を始めることが、ビジネスモデルの拡張への大きな転機となっています。
Big4は、一時期、法規制の強化によりコンサルティングサービスの提供を停止することもありましたが、いくつかのコンサルティングファームを買収しグループ化することで、再びコンサルティング業務を展開し始めました。それぞれのファームは独自の社風と専門性を持ちながら、企業の戦略策定から実行支援までを行う総合的なサービスを提供しています。
これらのBIG4ファームは、グローバルな規模でのオペレーションと、膨大な経験と知見を活かしたサービスで、コンサルティング業界において重要な地位を占めています。各ファームが異なる特色を持つこともあり、それぞれの企業文化や強みを理解することが、彼らのサービスを最大限に活用する鍵となります。

デロイト トーマツ コンサルティング(DTC)の概要

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(DTC)は、1993年に設立された日本におけるDeloitte(デロイト)グローバルネットワークの一員です。
日本国内でのコンサルティング業務を主導し、クライアント企業に対して戦略立案から実行までの一貫したサポートを提供しています。
DTCは特に業務改革コンサルティングに強みを持っており、クライアントの業務プロセスの効率化や改善を通じて、企業価値の向上を図るための具体的な提案と実行支援を行います。これにより、数多くの企業が市場での競争力を高め、持続可能な成長を実現しています。
また、DTCは「Social Impact」活動にも注力しており、企業の社会的責任を果たすことを目的とした多様なプロジェクトを展開しています。これには、環境保護、教育支援、健康増進など、さまざまな社会課題の解決を目指す取り組みが含まれます。これらの活動を通じて、社会全体の持続可能性向上に貢献している点が、DTCの大きな特徴の一つといえるでしょう。
企業文化においては、DTCは社員の個々の成長とキャリア発展を重視しています。一般的な外資系企業に見られる「Up or Out」(昇進か退社か)の厳しい社風は薄く、日本企業に近い支援的な環境が整っており、長期的に社員を育てることに注力しています。その結果、社員は安心してスキルアップを図り、自らのキャリアを積極的に形成していくことができるような支援体制が整っていることがわかりす。
こうした経営理念と戦略的取り組みにより、DTCは日本国内外で高い評価を受け、業界をリードするコンサルティングファームとしての地位は確固たるものとなっています。

PwCコンサルティング(PwC)の概要

PwCコンサルティング合同会社は、2016年に設立されたプライスウォーターハウスクーパース(PwC)グローバルネットワークの一員として、日本国内でのコンサルティング業務を担っています。この会社は、PwCグローバルネットワークと密接に連携し、多様な経営課題の解決に取り組んでいます。
PwCは、国内市場におけるビジネスの成長支援だけでなく、グローバル市場での競争力強化を目指す企業に対しても積極的にサポートを提供しています。具体的には、「Design」(新しい姿を描き、作る)、「Disruption」(従来の概念を覆す)、および「Dimension」(多面的に考える)の「3つのDによる変革プラン」を掲げ、これらのアプローチを通じて、企業の変革と成長を促進します。
PwCはその国際的なネットワークを活かし、海外案件が非常に多いことでも知られています。これにより、国際的なビジネスの場で活躍する日本企業に対して、現地の市場状況や文化、法規制を踏まえたカスタマイズされた解決策を提供することが可能です。

また、BIG4の中でも特にグローバル色が強く、世界各国に展開するPwCのネットワークは、国際的なプロジェクトでの調整や情報共有をスムーズに行うことを可能にし、クライアント企業にとっての価値創出を最大化しています。こうした背景から、PwCコンサルティングは、特にグローバル市場への進出を考える企業から高い評価を受けており、世界各地でビジネスを展開する企業の強力なパートナーとして位置づけられています。
これらの強みを生かし、PwCコンサルティングは、ビジネスの多角的な課題に対する総合的なコンサルティングサービスを提供し続け、クライアント企業の持続可能な成長と発展を支援しています。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)の概要

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)は、2020年に設立された、比較的新しい会社です。EYグローバルネットワークの一員として、EYが国内外で培った豊富な経験とノウハウを活用し、企業の長期的な価値創造と成長を支援しています。EYSCは特に、「企業の長期的な価値創造のために、どのような経営戦略を描き、成長・発展を遂げていくべきか」という問いに焦点を当て、クライアント企業と共に戦略立案から実行支援までを一貫してサポートしている企業です。
設立されたばかりで成長期にあるEYSCは、これからの企業文化や体制が確立されていく過程にあり、特に若手の社員には多くの機会が与えられる環境が整っています。このダイナミックな環境は、新しいアイデアや提案を積極的に取り入れる土壌を提供し、若手社員が能力を発揮しやすい状況を作り出しています。
EYSCの社風は比較的穏やかで、オープンで協力的なコミュニケーションが奨励されています。そのため、従業員が自らの意見やアイデアを自由に表現し、チームとして協働する文化が根付いているといえるでしょう。また、ビジネスパートナーとしてクライアントの信頼を得るために、透明性と倫理的なビジネス実践に大きな重点を置いています。
このような新しい会社であるEYSCは、BIG4の中でも特に注目される存在で、グローバルネットワークを活かした広範なサービス提供と、日本市場における革新的なアプローチで、クライアント企業の多様なニーズに応えています。そのため、経営戦略の策定からその実行までをトータルでサポートし、企業の持続可能な成長を促進しています。

KPMGコンサルティング(KPMG)の概要

KPMGコンサルティングは、2014年に設立された比較的新しい会社ですが、その背後には長い歴史と深い専門知識を持つKPMGのグローバルネットワークの支えがあります。KPMGコンサルティングは、クライアント企業の「攻めの戦略」と「守りのリスク管理」の両面からサポートを行い、ビジネス、業務、ITの全面的な改革をリードしています。KPMGの特徴の一つとして、「業界の先見性」と「デジタル技術」、「データ分析」の三つを掛け合わせた経営戦略の提案があります。この独自のアプローチにより、クライアント企業に対して実現可能で効果的なソリューションを提供し、業界内での競争優位を図ることが可能です。特に、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の導入と最適化に関するプロジェクトには強みを持っており、効率化とコスト削減を実現するための支援を得意としています。

KPMGは、従業員数が約1,926名(2024年1月1日現在)と、他のBIG4と比較して少ないことが特徴です。この規模感は、従業員一人ひとりに比較的大きな裁量を与え、ベンチャー企業のような気質で柔軟かつ迅速な意思決定が可能なため、イノベーションを重視し、新しい挑戦を恐れない人材にとって非常に魅力的であるといえるでしょう。
KPMGコンサルティングは、個々の専門知識とグローバルネットワークを駆使し、クライアント企業の変革を支え、新しい価値を創出することで、業界内外から高い評価を受けています。これからも、革新的で効果的なコンサルティングサービスを提供し続けることで、クライアント企業と共に成長し続けることを目指しています。

アクセンチュアとは

アクセンチュアは、グローバルなビジネスとテクノロジーのサービス提供者として、1953年に創業されました。当初からビジネスにコンピューター技術を導入する革新的なアプローチで知られ、現在でも多様な業界に対して幅広いコンサルティングサービスを提供しています。特にデジタル変革の推進において先頭を走る企業として世界中で認識されている企業です。

アクセンチュア株式会社の概要

アクセンチュア株式会社は、1953年に設立されたコンサルティングとプロフェッショナルサービスのグローバルリーダーです。この企業は、初期にビジネス用のコンピューターを導入し、コンサルティング業務を開始することで、業界の革新者となりました。現在でも、様々な課題を抱える企業や公的機関に対して、技術を駆使したサービスを提供しています。
アクセンチュアの特徴は、先端テクノロジーをビジネスに活用する能力にあります。そのため、クライアント企業がデジタルトランスフォーメーションを遂げるための強力なサポートを提供しています。企業内部では、ビジネスコンサルタント、デジタルコンサルタント、戦略コンサルタントなど、多岐にわたるコンサルタント職とともに、ソリューション・エンジニア、マーケティング、デザインといった専門性の高い部門に分かれています。
社内の雰囲気については、公式ウェブサイト上の新卒採用担当者インタビューによると、アクセンチュアは外見上はドライな企業文化を持つように見えるかもしれませんが、実際は非常にウェットな人間関係があり、社員同士の支援体制が充実していると評価されています。このバランスの取れた環境が、社員にとって働きやすい職場を形成しているといえるでしょう。
新卒採用者に関する詳細な声や体験は、以下のインタビューページから確認できます。 [新卒採用者インタビュー]。実際にアクセンチュアで働く人々の生の声を通じて、同社の働き方や文化を深く理解することができるのではないでしょうか。

コンサルBIG4とアクセンチュアの比較

コンサルティング業界において、BIG4とアクセンチュアはその存在感と影響力で広く知られています。BIG4は伝統的な会計監査を起源に持ち、コンサルティングへとその業務を広げてきた一方で、アクセンチュアはテクノロジーと戦略的ビジネスコンサルティングに特化しています。両者を比較することで、業界内でのポジショニングや戦略の違いが明確になるため、特に従業員数の観点からその規模と市場における影響力を考察してみましょう。

従業員数

日本国内での従業員数を比較すると、BIG4とアクセンチュアの間で顕著な違いが見られます。以下の表は、各組織の従業員数を示しています。

組織名従業員数
デロイト トーマツ コンサルティング5,324名(2023年6月1日)
PwCコンサルティング約11,500名(2023年6月30日)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング4,507名(2024年5月1日時点)
KPMGコンサルティング1,926名(2024年1月1日)
アクセンチュア約23,000人(2023年12月1日時点)

この表から、アクセンチュアの従業員数がBIG4のどのファームよりも顕著に多いことが分かります。アクセンチュアの大規模な従業員数は、広範囲にわたるサービス提供とグローバルなプロジェクトの実行能力を反映しており、テクノロジーとコンサルティングの融合に強みを持っています。一方で、BIG4は各社の規模が大きく異なり、特にKPMGは他のBIG4に比べて従業員数が少ないため、より専門的で集中的なサービス提供が可能です。
BIG4の中でも従業員数に差があり、この規模の違いが各ファームの社風やサービスの提供方法に影響を与えています。小規模な組織は個々のクライアントとの関係を深めやすい一方で、アクセンチュアのような大企業は広範囲の業務と多様なサービスを提供することが可能です。これにより、顧客は自身のニーズに最も適したコンサルティングファームを選ぶことができます。

年収

コンサルティング業界におけるBIG4とアクセンチュアの平均年収を比較すると、それぞれのファームが提供する福利厚生やキャリアパスの多様性が理解できます。以下の表は、日本国内におけるこれら企業の平均年収を示しており、個々の従業員がキャリアを通じてどの程度の報酬を期待できるかがわかります。

組織名平均年収(推定)
デロイト トーマツ コンサルティング958万円
PwCコンサルティング 956万円
EYストラテジー・アンド・コンサルティング902万円
KPMGコンサルティング901万円
アクセンチュア865万円

一見すると、Big4と比較して、アクセンチュアの年収が低いことが気にかかるかもしれません。しかし、アクセンチュアにおける年収は、シニアマネージャークラスで一気に上昇する傾向にあります。これは、アクセンチュアの給与体系が業績や職位により大きく変動するためで、特に上位職での収入が高いことが特徴です。
この表からわかるように、BIG4のコンサルティングファームはどの企業も非常に競争力のある年収を提供していますが、デロイト トーマツ コンサルティングが最も高い年収を示しています。一方で、アクセンチュアはシニアマネージャーに到達するまでは相対的に低い年収を提供しているものの、昇進すれば大幅な年収の飛躍が見込めるため、長期的なキャリアを考える上で魅力的な選択肢と言えるでしょう。
各企業の福利厚生やキャリア発展の機会も大きく異なるため、職場選びに際しては単なる年収だけでなく、自分が何を重視するかによって判断することが重要です。例えば、研修の機会、ワークライフバランス、国際的なキャリア機会など、各々のニーズに応じたファームを選択することが大切です。

まとめ

アクセンチュアとコンサルBIG4(デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティング)は、それぞれが得意とするコンサルティングの領域やサービスが異なります。
特に、BIG4は会計と監査を中心としてサービスを提供しているだけでなく、広範囲にわたるビジネスコンサルティングも提供しており、特に各業界の規制や財務に関する深い知見をもっていることが特徴です。一方、アクセンチュアは技術革新を核としたコンサルティングサービスで知られ、デジタルトランスフォーメーションやIT戦略に強みを持っているコンサルティングファームです。
アクセンチュアとBig4では、企業の規模や社風も大きく異なるため、自分のキャリア目標や個人的な適性に合わせた選択が重要です。また、効果的な転職を実現するためには、専門的な転職エージェントを利用し、希望する企業やポジションに合わせた適切な対策を講じることがおすすめであると言えるでしょう。

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