会計×ITはコンサルとしての強みに!会計とITのスキルを持ち合わせたコンサルを目指すには?

ビジネスの世界では、現在、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が高まり、企業の競争力を高めるためにITの利活用が欠かせません。一方で、会計知識は企業経営の基盤となる不変の要素です。この両者を融合させた「会計×IT」のスキルセットは、今日の複雑なビジネス環境において強力な武器となります。
特に、ITコンサルタントとして活躍する上で、「会計×IT」の知識と技術を持ち合わせることは、クライアント企業に対する深い理解と高度なソリューション提供の両方を可能にし、自身の市場価値を大幅に向上させることができます。
本記事では、「会計×IT」のスキルを持ち合わせたコンサルタントを目指す方向けに、必要な知識・資格、そしてキャリアパスについて掘り下げていきましょう。

目次

監修

荒木大介

株式会社ARK 代表取締役社長/プレジデント・シニアコンサルタント
1998年~ マカフィー株式会社
2002年~ ベリタスソフトウェア株式会社 (現シマンテック) : アカウントマネージャー
2004年~ インテル株式会社 : セールスマネージャー
2013年~ 株式会社ARK : 代表取締役

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会計×ITはITを導入したい中小企業の強い味方に

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、大企業だけでなく中小企業にとっても避けては通れない課題です。しかし、中小企業においてはまだまだ手作業が多く、デジタル化の進展にはいくつかの障壁が存在しています。
ここでは、会計×ITがいかにして中小企業のDX推進の強い味方になり得るかを解説します。

DX化の風潮でも中小企業では未だ手作業が多い

多くの中小企業では、業務プロセスのデジタル化が進んでおらず、手書きの帳簿や紙ベースの伝票入力が今もなお行われています。例えば、中小企業庁が行った調査の事例として挙げられる丸友青果株式会社では、従来手作業で行っていた伝票入力をタブレットを利用して合理化したことで、業務効率が大幅に向上しました。
また、会計面では紙ベースの帳簿や伝票が多く、これらをデジタル化することで、データの即時性やアクセシビリティを大幅に向上させることが可能です。クラウド会計ソフトの導入は、紙の帳簿や伝票から脱却し、いつでもどこでも財務状況を確認できる環境を整えます。その結果、時間とコストを節約しつつ、経営の意思決定に必要な情報をリアルタイムに把握することが可能になります。

IT導入に際してコスト面で不安を抱える企業が多い

DX化においては、特にコスト面が大きな課題となります。中小企業庁の調査では、IT導入に際してコストが一番大きな懸念事項であることが明らかになっています。導入初期の投資費用や、運用に伴う継続的なコストが負担となることが大きいです。
ここで会計の知識を持ったITコンサルタントが重要な役割を果たします。彼らは、単にITシステムの導入を進めるだけでなく、企業の財務状況や経営戦略を踏まえたうえで、最適なITソリューションを提案することができます。また、コスト削減だけではなく、長期的な視点で見たときにどのように収益に貢献できるかを検討し、提案することで企業のDX化を支援します。
会計×ITの専門家は、中小企業が直面する課題を理解し、それを解決へと導くための橋渡し役です。コスト面での不安を抱える中小企業にとって、これらの専門家はまさに強い味方になり得るのです。デジタル技術の活用は、中小企業にとっても避けては通れない道です。適切なアドバイスとサポートを受けながら、一歩ずつIT導入を進めていくことが、これからの中小企業には求められています。

会計×ITの知識・技術を持ち合わせるコンサルになるには?

会計×ITの分野で活躍するコンサルタントは、今日のビジネス環境において非常に重要な役割を担っています。経営とテクノロジーの両方に精通しているため、企業が直面する複雑な課題を解決するのに不可欠です。では、会計とITの両方の知識・技術を持ち合わせるコンサルタントになるにはどうすればよいのでしょうか。

公認会計士からスタート

会計×ITのコンサルタントになるための一つのルートは、まず公認会計士としてキャリアをスタートさせることから始まります。公認会計士は、会計や税務に関する深い専門知識を持ち、企業の財務諸表の監査や税務相談などを行うことができるプロフェッショナルです。公認会計士になるためには、厳しい国家試験に合格し、必要な実務経験を積む必要があります。
監査法人に就職した後、特にIT企業のクライアントに関与する機会を増やすことが重要となってきます。IT企業に関与することで、会計士としての専門知識に加えて、ITの知識も身につけることが期待されます。例えば、IT企業の監査を通じて、ソフトウェアの開発コストの計上方法やクラウドサービスの収益認識など、特有の会計処理を学ぶことが可能です。また、ITセキュリティやデータ管理に関する知見も深めることができ、これらは会計×ITのコンサルタントとして非常に価値のあるスキルとなります。

ITコンサルへの転職

会計士としての知識とITに関する経験を積んだ後、次のステップとしてITコンサルタントへの転職を目指します。ITコンサルタントとしては、企業のIT戦略の策定やシステム導入の支援、デジタルトランスフォーメーションの推進など、幅広い業務に携わることになります。会計士としての背景を持つことで、財務データを活用した分析や、経営上の意思決定にITソリューションをどのように組み込むかという視点で、他のITコンサルタントと差別化を図ることができます。
会計×ITのコンサルタントになるためには、公認会計士としての経験を基盤に、IT関連の知識と技術を積極的に学ぶ必要があります。また、ビジネスの現場で直面する課題を解決するためには、経営戦略やマーケティング、人材管理など、会計やIT以外の分野についても幅広い知識が求められます。これらの知識を総合的に活用し、クライアント企業のニーズに応える提案ができるようになれば、会計×ITの分野で成功するコンサルタントとなるでしょう。

会計×ITで市場価値を高めるために有しておきたい資格とは?

会計とITの組み合わせは、現代ビジネスにおいて強力な武器となり得ます。会計の専門知識とITスキルを併せ持つことで、企業の経営効率化、財務の透明性向上、さらには新たなビジネスモデルの創出に寄与することが可能です。
ここでは、会計とITの組み合わせで、市場価値を高めるために有しておきたい資格を解説します。

公認会計士

公認会計士は、会計や税務に関する専門的な知識と技能を持ち、企業や個人の財務諸表の監査や、税務相談などの税務を行うことができる国家資格です。企業の経営を理解し、それを数字で表現する能力は、会計とITの融合領域においても重要です。財務諸表の分析からシステムへの要件定義まで、幅広い業務に応用が可能となってきます。

・試験の概要

公認会計士試験は、簿記論、財務諸表論、監査論、企業法、税法など、会計に関わる幅広い知識を問う難関試験です。試験は複数の段階に分かれており、通過することで資格取得が可能になります。

・難易度

公認会計士試験は、その広範な出題範囲と高い合格基準から、非常に難易度が高いとされています。しかし、一度資格を取得すれば、その専門性と信頼性から市場価値は非常に高いものとなります。

ITコーディネーター

ITコーディネーター(略称はITC)とは、経営とITに関する知見を活かし、ITサービスの利活用を推進することで、IT経営を実現させる専門家です。特に中小企業など、IT部門が十分に充実していない組織において、ITコーディネーターはその知識で大きな貢献をすることが期待されます。

・試験の概要

ITコーディネーター試験は、ITに関する基礎知識から経営戦略に関する知識、プロジェクトマネジメントスキルまで、幅広い領域をカバーします。試験は基礎、応用の2段階に分かれており、各段階をクリアすることで資格が付与されます。

・難易度

ITコーディネーター試験は、ITスキルと経営知識の両方を要求されるため、一定の難易度があります。ただし、実務経験が豊富な方であれば、比較的取得しやすい資格とも言えるでしょう。

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。ビジネスのあらゆる側面に関する知識と経験を活かし、中小企業の成長をサポートします。

・試験の概要

中小企業診断士試験は、経営、財務、法務、技術、情報システムなど、中小企業経営に関わる広範な知識が問われます。試験は筆記試験と口述試験からなり、両方を合格することで資格が得られます。

・難易度

中小企業診断士試験もまた高い難易度を誇る資格試験です。特に経営に関する広範な知識が必要とされるため、勉強量はかなりのものになります。しかし、取得後は中小企業の経営支援だけでなく、自身のビジネススキル向上にも直結するため、取得に向けた努力は報われることでしょう。
会計とITの融合は今後もさらに進んでいくことが予想され、これらの資格を持つことで、個人の市場価値を大きく高めることが可能です。これらの資格は、専門知識だけでなく、ビジネスに対する幅広い視点と実践的なスキルを身につけることができるため、将来にわたって活躍の場を広げるためにも、積極的に挑戦してみる価値があるでしょう。

ITコンサルの年収は?

ITコンサルタントの年収は、その人の経験、専門性、所属するファームや役職によって大きく異なります。また、「会計×IT」といった特定の専門分野での知識や技術を持っている場合、その付加価値によって年収が上がる可能性もあります。特に外資系のファームでは、その傾向が顕著に見られます。
以下はITコンサルタントとしての年収などの目安を年齢、年収、職位に分けた表です。

年齢年収職位
新卒~20代中盤400~500万円アナリスト
20代中盤~ 500~700万円コンサルタント
20代中盤~30代前半700~900万円アソシエイトマネージャー
20代後半~30代後半900~1,500万円マネージャー
30代前半~30代後半1,500~2,300万円~シニアマネージャー
30代後半~1,800~2,500万円プリンシパルアソシエイトディレクター
2,500万円~マネジングディレクター

この表は、外資系コンサルティングファームでの年収を目安として示したものなので、「会計×IT」のような強みとなるスキルセットを持っている方は、これ以上の年収となることも少なくありません。特定の課題の解決を求められるコンサルタントという仕事においては、特定の分野に特化したスキルセットや経験は大きな強みとなり得るものです。そして、その強みが収入に直結するのが、コンサルタントという仕事なのだと理解することが大切です。

まとめ

「会計×IT」というスキルセットは、今日のビジネス環境において重要な価値を持ち、コンサルタントとしての強みに直結します。この分野においては、公認会計士やITコーディネーター、中小企業診断士などの資格が、専門的知識を証明し、信頼を築く上で役立つでしょう。また、実際の業務経験を通じて、会計とITの両方に関する深い理解と技術を磨くことが重要です。
会計知識を持つIT専門家は、中小企業にとって手作業による伝統的な業務プロセスをデジタル化し、効率化するための貴重なリソースとなり得ます。さらに、ITコンサルの年収は専門性や所属する企業によって大きく異なりますが、「会計×IT」のスキルを持つことで、より高い報酬とキャリアの可能性を開くことが可能です。
最終的に、「会計×IT」のスキルを持ち合わせたコンサルタントになるためには、関連する資格の取得、継続的な学習と実務経験の積み重ねが不可欠です。

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