SAPを駆使できるITコンサルに需要が高まる?求められる理由とSAPコンサルのなり方を解説

IT業界でのキャリアを目指す方々にとって、SAPコンサルタントという仕事は特に魅力的な選択肢の一つです。世界最大級のソフトウェアメーカーであるSAP SE社は、そのERP(Enterprise Resource Planning)システムを通じて企業の経営資源を一元的に管理し、業務効率化を実現しています。
しかし、多くの人々が、「未経験からSAPコンサルタントとして働くことは可能なのか?」「SAPコンサルタントとしてどのようにキャリアを積めばよいのか?」と疑問に感じているのではないでしょうか。
この記事では、未経験からSAPコンサルタントになるまでの道のり、必要なスキル、教育プログラム、そして実際に業界に飛び込むための具体的なステップを解説します。SAPコンサルタントとしてのキャリアがどのようにして形成され、どう成功に至るのかを解き明かしていきましょう。

目次

監修

荒木大介

株式会社ARK 代表取締役社長/プレジデント・シニアコンサルタント
1998年~ マカフィー株式会社
2002年~ ベリタスソフトウェア株式会社 (現シマンテック) : アカウントマネージャー
2004年~ インテル株式会社 : セールスマネージャー
2013年~ 株式会社ARK : 代表取締役

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SAPとは

SAP(Systems, Applications, and Products in Data Processing)は、経営資源を一元的に管理できるERP(Enterprise Resource Planning)パッケージの1つです。ERPとは、企業のヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を一元的に管理・活用することのできるITシステムのことを指します。
SAPは、企業の業務改革やビジネス環境の改善に大きな効果をもたらすため、日本企業をはじめとして世界中の多くの企業が導入しています。このシステムを活用することで、経営資源の効率的な活用や情報の一元管理、業務プロセスの効率化などが実現され、企業の競争力強化や経営の合理化に貢献しています。

SAPでできること

SAPは多岐にわたる機能を提供しており、企業の基幹業務を効率的に管理・処理することが可能です。

● リアルタイム処理
SAPを活用することで、あらゆる基幹業務をリアルタイムに一括処理することが可能です。これにより、情報の遅れや重複を防ぎ、業務の効率性が高まります。
● 機械学習の活用
SAPは機械学習技術を組み込んでおり、業務のさらなる効率化を図ることが可能です。例えば、予測分析や自動化されたプロセスにより、業務の手間を軽減し、生産性を向上させることが可能となっています。
● モジュール管理
SAPはさまざまなモジュールを提供しており、企業は必要なモジュールを選択して導入することが可能です。これにより、業務プロセスの効率化やカスタマイズが可能となり、企業のニーズに合わせたシステム構築に繋がります。

ITコンサルの花形?SAPコンサルの魅力とは

SAPは世界的に広く利用されており、その専門知識を持つことで、市場価値が高まります。また、SAPコンサルタントの魅力は、ビジネスコンサルタントのような役割を果たせることにあります。上流工程からプロジェクトに関わり、企業のビジネス戦略に直接影響を与えることができるのです。このようなポジションで活躍することで、高度なスキルや経験を積み重ね、キャリアの幅を広げることが可能です。

専門コンサルとして成り立つほどシェア率が非常に高い

専門コンサルとして成り立つほどSAPのシェア率が非常に高い理由はいくつかあります。まず、一般的なコンサルタントとして働くには、さまざまなパッケージソフトに精通していることが求められますが、SAPの場合はその専門性が高く評価されます。SAPは世界的に広く利用されており、その専門知識を持つことで市場価値が高まるのです。
さらに、SAPは企業の基幹業務をカバーするため、一つのシステムに集中して知識を身につけられるという利点があります。これにより、高度な専門性を持ったコンサルタントとして成長することが可能です。SAPコンサルタントとしてのキャリアパスは非常に魅力的であり、専門コンサルとしての地位を築くことに繋がるのです。

ビジネスコンサルタントのような役割で上流工程から関われる

SEからSAPコンサルタントに転職する際、仕事内容が似ていると思われがちですが、実際には両者ともに異なる役割があります。SAPコンサルタントはビジネスコンサルタントのような役割を果たし、仕事に上流工程から関わることが可能です。SAPコンサルタントは、SAPの運用を通じてクライアントの業務効率化やビジネス環境の改善に直接貢献するからです。
SEのメイン業務はプログラムの構成と納品ですが、SAPコンサルタントは業務プロセス全体を見渡し、経営に近い位置でクライアントの課題を解決します。そのため、上流工程から業務に関わることで身につく知識やスキルが非常に豊富であり、今後のキャリアパスの強みにもなります。ビジネスコンサルタントとしての視点を持ちながらSAPを活用することで、より戦略的な価値を提供できるポジションに就くことが可能です。

SAPを駆使するITコンサルに需要が高まる理由

SAPを駆使するITコンサルタントへのニーズが高まる理由の一つは、「2027年問題」によるものです。もう一つは、SAPを駆使するITコンサルタントは専門性が高く、慢性的に人材不足であるためです。これらの要因が合わさり、SAPを活用するITコンサルタントへの需要が高まっているのです。以下で詳しく見てみましょう。

「2027年問題」によるニーズの高まり

「2027年問題」とは、SAP ERP 6.0のサポート終了に伴い、2027年以降に新しいSAP S/4HANAへの移行が必要とされる現象を指します。この移行には、企業のSAPシステムをアップデートする必要がありますが、その需要に対し、SAPコンサルタントの人手不足が予測されています。
実績と経験の豊富なSAPコンサルタントは、このニーズに応えるために独立してフリーランスとして活躍するチャンスも広がっています。このような状況から、2027年問題によるSAPコンサルタントへの需要が急増していると言えます。

専門性が高いため慢性的に人材不足である

SAPコンサルタントの需要が高まっている背景には、2027年問題によるアップデート需要の他、SAPコンサルタントが慢性的に不足しているという現状もあります。SAPの知識は高度であり、他の分野での応用が効きにくいため、求められる専門性が非常に高度なものとなります。
そのため、SAPコンサルタントを目指す人が少ない一方で、SAPシステムを導入・運用する企業は増加傾向にあり、人材需要と供給のバランスが取れていません。この状況がシェア率は高いにもかかわらず、SAPコンサルタントが不足している要因となっています。

SAPコンサルタントになるには

SAPコンサルタントになるには、まずSAP認定コンサルタント資格を取得することが重要です。この資格を取得することで、SAPの専門知識とスキルを証明し、市場価値を高めることが可能となります。
また、SAPを扱うSlerやコンサルティングファームに入社することも一つの道です。これらの企業では、実務経験を積みながらSAPに関する豊富な知識やプロジェクト管理能力を磨くことが可能です。こうしたステップを踏むことで、SAPコンサルタントとしてのキャリアを築いていきましょう。

SAP認定コンサルタント資格を取得する

SAP認定コンサルタント資格はSAP社が公式に認定する資格であり、取得するとSAP製品に関わるプロジェクトにおいて必要な知識とスキルを持っていると認識されます。この資格を持つことで、クライアントからの信頼を得やすくなり、プロジェクトへの参加やリーダーシップを任される機会が増えます。
また、転職においても資格があることがアピール材料となり、求人市場での競争力を高めることが可能です。SAP認定コンサルタント資格は、SAPを専門的に活用する能力を証明すると同時に、キャリアの発展や成長にも大きく貢献する資格です。

SAPを扱うSler、コンサルティングファームに入社する

SAPを扱うSlerやコンサルティングファームへ入社するには、高い専門性を要求されます。しかし、豊富な経験と高収入を得られる可能性のある選択肢です。Slerは主にIT関連のソリューションを提供し、大手企業や中小企業のSAPプロジェクトに携わることがあります。また、コンサルティングファームにはデロイトトーマツコンサルティング合同会社やアクセンチュア株式会社などの世界的に有名な企業があり、高い専門性を身につけてクライアントからの信頼を得ることが可能です。
これらの企業への入社は狭き門であり、競争が激しいことが特徴です。しかし、一度入社すれば豊富な経験やスキルを身につけ、高収入を得ることが期待できるため、多くのSAPコンサルタントが目指すキャリアパスの一つとなっています。

まとめ

SAPを駆使できるITコンサルタントの需要は、今後ますます高まることが予測されます。その理由は、2027年問題によるSAPシステムのアップデート需要の増加と、SAPコンサルタントに高い専門性と経験が求められていることにあります。ITコンサルタントがSAPに精通し、クライアントのビジネス課題を解決する能力を持つことは、自身の市場価値を高める要素となります。
SAPコンサルタントになるためには、まずSAP認定コンサルタント資格を取得することが重要です。この資格を持つことで、SAPの専門知識とスキルを証明し、信頼性を高めることが可能です。そして、SAPを扱うSlerやコンサルティングファームに入社し、実務経験を積みながらキャリアを築いていくことで、さらなるキャリアアップを実現することができるでしょう。

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