セールスフォースのカスタマーサクセスとは?転職する上で知っておくべきセールスフォースの特徴!

セールスフォースのカスタマーサクセスは、顧客の成功を最大化するための戦略的なサポートを提供する重要な役割です。クライアントのニーズを理解し、最適なソリューションを提案することで、長期的な関係構築を目指します。転職を検討する際には、セールスフォースの特徴や企業文化、カスタマーサクセスの具体的な業務内容を理解しておくことが重要です。この記事では、セールスフォースのカスタマーサクセスの概要と、転職前に知っておくべきポイントをご紹介します。

目次

監修

荒木大介

株式会社ARK 代表取締役社長/プレジデント・シニアコンサルタント
1998年~ マカフィー株式会社
2002年~ ベリタスソフトウェア株式会社 (現シマンテック) : アカウントマネージャー
2004年~ インテル株式会社 : セールスマネージャー
2013年~ 株式会社ARK : 代表取締役

プロフィールを見る

セールスフォースの概要

セールスフォースは1999年に創業され、クラウドコンピューティングを基盤にした製品で利便性を大幅に向上させ、企業の成長に大きく寄与してきました。創業者が掲げた「テクノロジーの民主化」という理念に基づき、資金が限られる中小企業も含め、幅広い組織がデジタル技術の恩恵を受けやすいサービスを提供しています。この思想は、セールスフォースの製品とサービスが多様なビジネスニーズに応える背景となっており、現在の成功を支える重要な要素となっているのです。

セールスフォースの掲げるカスタマーサクセスとは?

セールスフォースのカスタマーサクセスは、顧客の成功を第一に考えた戦略的サポートを提供します。顧客のニーズに応じた最適なソリューションを提案し、長期的な関係を築くことを目指しています。次に、セールスフォースのカスタマーサクセスの具体的な内容と、その役割について詳しく見ていきましょう。

セールスフォースの掲げる価値観の1つ

セールスフォースは、企業のコアバリューとして「信頼」「カスタマーサクセス」「イノベーション」「平等」「サステナビリティ」を掲げています。この中で「カスタマーサクセス」は、同社が最も重視する目標の一つです。セールスフォースは、顧客の成功を自社の成功とみなし、顧客のニーズや目標に応じた最適なソリューションを提供することが使命です。この価値観は、顧客との信頼関係を築くために重要となってきます。セールスフォースは、単に製品を販売するのではなく、顧客がその製品を最大限に活用できるようにサポートし、顧客の成長や成功を促進します。このアプローチにより、顧客の成功が直接的にセールスフォースの成功に繋がると考えられており、持続可能なビジネス関係の構築に貢献しているのです。

セールスフォースのカスタマーサクセスの特徴

セールスフォースのカスタマーサクセスは、顧客の成功を支えるために設置された専任の組織が中心となって運営されています。この組織は、顧客企業の製品利用状況を継続的に分析し、業務での成果を上げるために製品の定着化や業務改善をサポートし、特に、先行的に導入した社員に対しては、製品の効果的な利活用を支援し、成果を最大化するためのアドバイスを提供します。
また、セールスフォースは顧客に対してサービスの良さを直接体感してもらうことを重視しています。自社の製品やサービスを自ら使用し、その価値を実感することで、より深い理解と信頼を築くことを目指しています。このように、外資IT業界の中でもセールスフォースは最も大きなカスタマーサクセスチームを持ち、顧客の成功を全面的にサポートする体制を整えています。

セールスフォースのカスタマーサクセスの目的

セールスフォースのカスタマーサクセスの主な目的は、業界や市場が成熟化する中で競争が激化する新規顧客獲得の難易度を考慮し、既存顧客との長期的な関係を築くことにあります。新規顧客の獲得が競合との厳しい競争を意味する場合、既存顧客との取引を重視する「LTV(ライフタイムバリュー)」の考え方が重要になります。これにより、既存顧客との継続的な取引を促進し、顧客の満足度とロイヤルティを高めることが目指されています。
カスタマーサクセスチームは、顧客が製品やサービスを最大限に活用し続けることで、継続的な購入を実現させます。これにより、顧客企業は生産性の向上や売上の拡大といったメリットを享受でき、セールスフォースにとっても安定した収益源となります。このアプローチにより、長期的な顧客価値の最大化と持続的なビジネス成長を実現することができるでしょう。

セールスフォースにおけるカスタマーサクセス戦略

セールスフォースのカスタマーサクセス戦略は、顧客の成功を最大化するために設計されています。この戦略には、具体的な施策や支援体制が含まれており、顧客の継続的な成長と満足度を高めることが目指されています。次に、セールスフォースのカスタマーサクセスが実際にどのように機能しているのか、具体的な戦略と取り組みについて詳しく見ていきましょう。

顧客の期待以上を叶える製品設計

セールスフォースの製品設計は、顧客の期待を超えた体験を提供することを目指しています。特に、サブスクリプション型のサービスモデルでは、解約のリスクが課題となるため、顧客の「ファン」化を実現するための設計が重要です。実際、セールスフォースは、かつてメリルリンチに解約されてしまいそうになるという危機に直面した際、顧客のニーズを深く理解し、それに基づいて製品を再設計しました。
この経験から、セールスフォースは単に既存の製品を提供するのではなく、各顧客の具体的な要望に応じて製品を柔軟に調整し、カスタマイズします。これにより、顧客が求める機能やサポートを的確に提供し、長期的な関係構築を図っています。顧客の期待を超える製品設計は、顧客の満足度を高め、解約リスクを最小限に抑える鍵となります。

買収を軸とした事業の拡大

セールスフォースは、変化の激しいIT業界において、自社だけで新規製品や事業を生み出すことが難しいと認識しています。そのため、買収を通じて事業を拡大する戦略を採用しています。特に注目すべきは、2021年のSlack買収です。この買収により、セールスフォースは顧客が求める技術を持つ企業を取り込み、自社の既存サービスと統合しました。
このアプローチは、単なる事業拡張に留まらず、カスタマーサクセスの実現にも寄与しています。買収した技術やノウハウを自社の製品に統合することで、顧客にとってより価値の高いソリューションを提供し、より一層の顧客満足度の向上を図っています。セールスフォースの買収戦略は、市場の変化に迅速に対応し、顧客のニーズに応えるための重要な手段となっています。

カスタマーサクセスを叶えるトレイルブレイザー

セールスフォースにおける「トレイルブレイザー」は、カスタマーサクセスを実現するための重要な要素です。トレイルブレイザーの活躍には、安心して意見を表明できるコミュニティづくりが欠かせません。セールスフォースは、人種による賃金格差や性的指向に対する差別などの問題に正面から向き合い、包括的で公平な環境を提供しています。このような体制は、従業員の心理的安全性を高め、意欲的に業務に取り組む基盤を築いています。
また、トレイルブレイザーは、クライアントの社内サービスへの導入を目指すパートナーとしても支援します。多様な人々をサポートする姿勢が、顧客との信頼関係を深め、より良いカスタマーサクセスを実現します。トレイルブレイザーの役割は、単なるサポートにとどまらず、さまざまな人々の成長を支えることで、全体の成功に繋がっているといえるでしょう。

セールスフォースのカスタマーサクセスを叶えるための研修

セールスフォースでは、カスタマーサクセスを実現するために徹底した研修プログラムが用意されています。新卒で入社する新入社員には、配属先に関係なく、セールスフォースの文化や製品知識、顧客対応スキルに関する研修が約4ヵ月間にわたり実施されます。この包括的な研修により、新入社員は顧客価値の最大化を目指して行動できるようになります。
また、中途社員に対しても、既存の研修に加えて立ち上がり期間向けのプログラムが用意されており、迅速に業務に適応できるよう支援します。これにより、全社員が一貫したカスタマーサクセスのためのスキルと知識を身につけ、顧客に対して高い価値を提供することが可能になるのです。

まとめ

セールスフォースのカスタマーサクセスは、顧客の期待を超えるサービスとサポートを提供するための戦略的アプローチです。顧客の成功を中心に据えた製品設計、強力なカスタマーサクセスチーム、そして充実した研修が特徴です。転職を考える際には、これらの特徴を理解し、セールスフォースの価値観と業務の流れに合ったスキルを磨くことが重要であるといえるでしょう。

関連記事